現代短歌初心者向けの、おすすめ歌集5選(プラスα)ご紹介

現代短歌初心者向け おすすめ歌集5選

現在NHKの朝ドラ「舞いあがれ」で登場し、短歌に興味を持ち始めたという方は多いのではないでしょうか。

kasumi

サラダデイズで有名な俵万智さんのTwitterも最近バズっているそうです

私はふとしたきっかけで現代短歌(読む専門)という趣味を見つけ、図書館で沢山借りて色々読んだ中からお気に入りになった数冊の短歌集を、自分の本棚に置いて時々楽しんでいます。

そこで、今回、同じように短歌に少し興味を持ち始めた方にとって、新しい世界を垣間見るきっかけになったら嬉しいなと思い、短歌集をご紹介することにしました。

目次

はじめに:現代短歌の魅力

もともと、短歌というと古典的な短歌を想像する人が多いため、少し敷居が高くて読む人を選ぶ印象があるかと思います。私も、短歌を読むのが好きというと、少し驚いた様子で「へえ」「なんか意外」なんて言われたりします。

でも、その「なんとなく限られた人が嗜むものでしょ?」という印象とは裏腹に、実際には現代短歌は誰もが楽しめるものです。

同じように文字制限があるTwitterには抵抗がないのなら、短歌も、リズム感の良さやエモーショナルさでいうとTwitterに負けてません。Twitterよりも、文化的で、読んでいると心が豊かになってくる感覚も魅力!

短歌っていいな〜と感じてもらうには、実際に短歌を見てもらうのが一番!今回は、私が好きな短歌集から初心者にオススメの5冊をご紹介します。掲載されている短歌も少しだけピックアップしてご紹介しています。「なんか気になるな」というものがあればぜひ手にとってみてください。


『短歌の詰め合わせ』(東直子さん著)

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こちらは、短歌を初めて読む方にオススメの入門書的な本です。現代短歌の有名どころが掲載されており、分かりやすい解説(こんな解釈をしてみると楽しめますよ、といった感じの文章)が付いている点が最大の魅力です。私も短歌の楽しみ方をこの本に教えてもらいました。

また、取り上げる短歌ごとに、下の方にさりげなく、歌人の名前・年齢・掲載歌集が載っている点も秀逸です。この情報のおかげで、好みの歌人や歌集を見つけたときに、次に読む歌集を探すことができるのです。

まさにこの本は、現代短歌の地図のような役割を担ってくれるとも言えるのではないかと思います。※もちろん、個人の著作なので、短歌のチョイスには個人の嗜好が多分に含まれているかとは思いますが、それは初心者にとっては大した問題ではないと思います。

好きだな、と思える歌人さんを探すのにもよい本ではないかと思います。

『食器と食パンとペン わたしの好きな短歌』(安福望さん著)

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柔らかいタッチが魅力のイラストレーター安福望さんが、ご自身の好きな短歌を集めた歌集です。表紙を見ていただいても分かる通りイラストがとても可愛くて癒されます。と同時に、短歌ごとに添えられたコメントは、控えめながら的をついていて、それぞれの短歌の魅力をさらに引き出してくれています。

  • しあわせにしてますように でも少しわたしが足りていませんように (月夜野みかん)
  • ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた (岡野大嗣)
『食器と食パンとペン わたしの好きな短歌

安福さんの短歌のチョイスのセンスも素晴らしいです。あまり毒々しさや生々しさがない点において、女性にとってもとっつきやすい一冊だと思います。現在はすでに廃盤となってしまったようなのですが、ぜひまた再販していただきたいと強く願っています。

『サイレンと犀』『たやすみなさい』(岡野大嗣さん著)

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  • そうだとは知らずに乗った地下鉄が 外へ出てゆく瞬間がすき
  • もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい
『サイレンと犀』
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  • 赤ちゃんがマスクのぼくをじっと見るできるだけ目で笑ってあげる
  • 前をゆく女のひとは鼻歌がきれいで赤ちゃんを抱いている
『たやすみなさい』

こちらの2冊はどちらも私のイチオシ歌人、岡野大嗣さんの歌集です。共感度が高くほっこり癒される短歌が沢山載っているのですが、とっても読みやすいので、短歌は初めてでも気軽に読んでみたい方、ちょっとしたスキマ時間で癒されたい人にオススメします。

誰もが見たり感じたことがあるような(もしくは経験がなくてもあるような気がする)、どこか懐かしい景色や感情を描くのを得意とされている方です。寝る前に読むととっても癒されます。

ちなみに岡野さんの歌集をご紹介しましたが、共著も複数出版されている木下龍也さんも超人気現代歌人です。以下は、岡野さん・木下さんが、谷川俊太郎さんと歌を詠み合うという企画を本にしたものです。短歌を歌人が解説するという貴重な企画なので、読み物としても面白いのでオススメです。

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ちなみに私が岡野さんの短歌がいいなと思って読むきっかけとなったのは、上記の「食器と食パンとペン」(廃盤)です。この中で、いいな、と思った歌が全部岡野さんだったので、歌集を買ってみたところ大大大ヒット。

この値段でこんなにたくさんの素晴らしい歌に出会えるのかと、感動すら覚えました。。

『キリンの子』(鳥居さん)

最後は、他の現代短歌とは一線を画する、話題の歌人鳥居さんの歌集です。

こちらは一度読むと二度と忘れられない衝撃的な短歌が多数載せられている超話題作ですが、既に廃盤のようです。とても残念です。

鳥居さんは、目の前での母の自死、児童養護施設での虐待、小学校中退、ホームレス生活という壮絶な体験を経験された、まだおそらく20代の女性です。


拾った新聞で字を覚え、短歌に出会って人生に「孤独な仲間の姿」を見いだせたという、天涯孤独のセーラー服歌人・鳥居の初歌集。

鳥居さんご自身が実際に体験した数々の辛い経験を淡々と歌っているのです。想像を絶する辛いことながら情景がありありと眼に浮かぶものばかりです。辛いはずなのにどこか淡々とした印象で、そのアンバランスさも彼女の短歌の魅力となっています。

  • 慰めに「勉強など」と人は言う その勉強がしたかったのです
  • これからも生きる予定のある人が 三ヶ月後の定期券買う
『キリンの子』

ただ、この歌集に関しては、短歌を楽しむという範疇のものではありません。

今回私がオススメしたのは、できるだけ多くの人に鳥居さんの短歌を通して日本に実在する子供の「いじめ」「貧困」の当事者の気持ちを知って欲しいからです。鳥居さんは大変苦しい子供時代を送り、大人になった今もなおそのトラウマから心の病気を抱えながら、名を明かすこともできない状況下で、この現代の日本どこかで生きている実在の人間です。

読んだら必ず何かしら感じることがあり、人によって様々に物事を考えさせられる歌集だと思います。

私は初めて読んだ後しばらくは頭の中が「キリンの子」でいっぱいの毎日を過ごしていました。ニュースでよく目にする社会問題のはずですが今まで何もわかっていなかったんだなとショックを受けました。日本には少なからず、鳥居さんのように苦しい人生を生きている人がいます。「その人たちのために、私に何たできることはあるだろうか」「家族がいて安心できる家がある私は一体何を不満に思っているのか、もっと当たり前に感謝しなくてはいけないのではないか」「ではその安心できる居場所のない人のために、私にもできることはないのか」ということを考えるきっかけとなった本です。

以上です。

一冊でも読んでみたいな、と思う歌集が見つかったら、幸いです。

現代短歌初心者向け おすすめ歌集5選

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この記事を書いた人

30代後半子育て中のワーママ。現在サバティカルタイム中(第二子産休中)。インプット&アウトプット・日々の試行錯誤を記録するためにブログとTwitterをはじめました。人生の後半戦を自分らしく&家族と楽しく過ごすためにできることを発信していきます。

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